-LAST EDEN-
どこに行くの、と聞くと軽く流された。

何度かそのやり取りをして、答えが得られないことを理解したあたしは黙り込んだ。

不思議と怖いとか不安とかいった気持ちはなくて。

ただ会話にならないことが不愉快だった。

『結愛はさ、俺のこと怖くないの』

質問の意味がわからなかった。

あたしは少し首を傾げて敬斗を見つめた。

『知らない男の車に乗って、行き先も教えてもらえなくて。怖くないの?』


気持ちを見透かされていたのだろうか。

『..怖くはない。怖がるべきなんだろうけど。敬斗は怖くない。』というと少し笑った気がした。
< 15 / 58 >

この作品をシェア

pagetop