-LAST EDEN-
飲み物を開けて、テーブルに置くと敬斗が口を開いた。

『絶対にテーブルの引き出しはあけないで』と。

少し声色が変わった気がしたけど、どうして、と聞いてはいけない気がして。

開けなければいいだけならと思い、あたしは頷いた。

それを見て安心したように笑う敬斗はふと思い出したように、何がいい?と尋ねた。

何の話かわからない。

あたしの表情から読み取ったのだろう。

お礼、と付け加える。

ああ、と納得してみせたけど、内心困った。

だってそんなの考えてなかったし。

聞かれると思ってなかったし。

何かしてくれるとか期待してなかったから。

固まってしまったあたしの頭を撫でて、考えておいて、というから黙って頷いておいた。
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