-LAST EDEN-
そんな寂しそうな顔しなくても、と笑う。

してないし、と呟いてみたけど、もしかしたら寂しそうな顔をしていたのかもしれない。

もともとそんなに表情豊かな方ではないから自分ではわからないけれど。


『泊まっていく?』

後ろから抱きすくめられてそう言う敬斗の声には、有無を言わせない響きがあった。

でも今泊まってしまったら、これ以上一緒にいたら、もし少しでも求められたら。

あたしもきっと彼を求めてしまうし離れられなくなる。

それだけは絶対に嫌だった。

手に入れなければ失くすことはないのだから。
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