副社長と秘密の溺愛オフィス
 副社長を見ると、疲れ切った様子で革張りのシートに深く座り、ヘッドレストに頭をもたげていた。

「お疲れのところ、申し訳ございませんでした」

 今日は特別疲れているのだろう。気遣いが足りなかった。

「いや、悪い。今日はいつもより疲れてるみたいだ。乾が癒してくれるっていうなら、もうちょっと頑張れそうだけど」

 わずかに目を細めて、ちらりとこちらを見るその瞳に一瞬にして心拍数が上がる。

 おそらく特別な意味などないその言葉なのに、意識してしまう自分がはずかしい。

「そういう役目は秘書よりも他の女性にお願いしてください」

 女として見ていないはずのわたしに、そういうことを言うのはやめてほしい。

「どうして? 俺は秘書に頼んだつもりはない。乾だから、癒して欲しいって言ったんだ」

 ふざけているのかと思い彼の顔を見る。しかしわたしの予想に反して、すごく真剣な顔をしていた。
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