副社長と秘密の溺愛オフィス
どさりとソファに翼を置くと、紘也さんは床に座りこみソファにぐでーともたれかかり、目をつむった。
「あぁ……久々にあんなに飲んだ」
見かけは目元が赤く感じる程度だったが、結構酔っているみたいだ。
わたしはキッチンからミネラルウォーターの入ったグラスを持ってきて、紘也さんに渡した。
「サンキュ」
喉をごくごくと言わせながら、一気にグラスの中の水を飲み干した。お行儀悪く手で口元を拭う。
翼を見るとすやすやと気持ちよさそうに寝息をたてていた。どうやら心配はなさそうだ。
「もう、連絡がないと思ったら、ふたりでこんな時間から飲んでたんですか?」
「あぁ、別にいいだろ。新しく家族ができてうれしかったんだから」
「えっ……」
驚いて言葉に詰まってしまう。
「明日香の弟なんだから、俺の家族だろ? だから仲良くしたいって思って、連れ出した。翼――いい子だな。幹也と違って素直だ」
飲みすぎでぐったりしている紘也さんは、手で目元を覆っているので表情がわからない。けれど口元が緩んでいる。どうやら翼と楽しい時間を過ごしたようだ。
「とっておきの店、連れて行ってやったら、すごく喜んでた。それで、俺とお前の婚約も祝福してくれた。『姉ちゃん、おもいっきり幸せになって』だって。ちゃんと伝えたからな」
「はい、ちゃんと聞きました」
きっと翼はわたしと紘也さんがでっち上げたふたりの恋愛話を信じたのだろう。大事な弟までに嘘をついて心苦しい。
「あぁ……久々にあんなに飲んだ」
見かけは目元が赤く感じる程度だったが、結構酔っているみたいだ。
わたしはキッチンからミネラルウォーターの入ったグラスを持ってきて、紘也さんに渡した。
「サンキュ」
喉をごくごくと言わせながら、一気にグラスの中の水を飲み干した。お行儀悪く手で口元を拭う。
翼を見るとすやすやと気持ちよさそうに寝息をたてていた。どうやら心配はなさそうだ。
「もう、連絡がないと思ったら、ふたりでこんな時間から飲んでたんですか?」
「あぁ、別にいいだろ。新しく家族ができてうれしかったんだから」
「えっ……」
驚いて言葉に詰まってしまう。
「明日香の弟なんだから、俺の家族だろ? だから仲良くしたいって思って、連れ出した。翼――いい子だな。幹也と違って素直だ」
飲みすぎでぐったりしている紘也さんは、手で目元を覆っているので表情がわからない。けれど口元が緩んでいる。どうやら翼と楽しい時間を過ごしたようだ。
「とっておきの店、連れて行ってやったら、すごく喜んでた。それで、俺とお前の婚約も祝福してくれた。『姉ちゃん、おもいっきり幸せになって』だって。ちゃんと伝えたからな」
「はい、ちゃんと聞きました」
きっと翼はわたしと紘也さんがでっち上げたふたりの恋愛話を信じたのだろう。大事な弟までに嘘をついて心苦しい。