副社長と秘密の溺愛オフィス
いたたまれない思いを抱えて、悶々としながら副社長室に戻る。気持ちを整えるためにも化粧室に行ってから業務に戻ろうと、続き部屋である秘書室へ入る。
ロッカーから荷物を取り出していると、副社長室へ続くドアが少し開いているのに気がついた。中から声が漏れ聞こえてくる。
紘也さんと……お母様?
そういえば今日は社長を交えてご家族でランチの予定だった。わたしも誘われたのだが、午後の来客予定もあり遠慮することにしたのだ。
お茶の準備しなきゃ。
手に持っていたポーチをデスクに置こうと移動したとき、中の会話を聞いてしまう。
「まさか、千佳子が大乗のバカと結婚だなんてな」
「そうね。予想外だったわ。千佳子さんのお父様も娘の幸せを何だと思ってるのかしら? 愛のない結婚なんて間違ってる」
お母様も千佳子さんと大乗専務との結婚には反対のようだ。
「あぁ……そうだな」
お母様の言葉に対する紘也さんの返事はなんだか歯切れが悪い。
「どうかしたの? 千佳子さんの結婚であなたが心を痛める必要はないのよ。あなた達の結婚話は『そうなればいいわね』ぐらいの話だったんだから」
「いや、そうじゃない……俺と明日香の婚約も、間違ってるのかもしれないなと思って」
ロッカーから荷物を取り出していると、副社長室へ続くドアが少し開いているのに気がついた。中から声が漏れ聞こえてくる。
紘也さんと……お母様?
そういえば今日は社長を交えてご家族でランチの予定だった。わたしも誘われたのだが、午後の来客予定もあり遠慮することにしたのだ。
お茶の準備しなきゃ。
手に持っていたポーチをデスクに置こうと移動したとき、中の会話を聞いてしまう。
「まさか、千佳子が大乗のバカと結婚だなんてな」
「そうね。予想外だったわ。千佳子さんのお父様も娘の幸せを何だと思ってるのかしら? 愛のない結婚なんて間違ってる」
お母様も千佳子さんと大乗専務との結婚には反対のようだ。
「あぁ……そうだな」
お母様の言葉に対する紘也さんの返事はなんだか歯切れが悪い。
「どうかしたの? 千佳子さんの結婚であなたが心を痛める必要はないのよ。あなた達の結婚話は『そうなればいいわね』ぐらいの話だったんだから」
「いや、そうじゃない……俺と明日香の婚約も、間違ってるのかもしれないなと思って」