副社長と秘密の溺愛オフィス
「いいですね、では……乾杯」

「乾杯」

 お互いのグラスを軽く合わせ、ひと口飲んだ。炭酸の喉越しも良く、フルーティで飲みやすい。

「美味しいです」

「よかった。さて、どれから食べようかな……っと」

 紘也さんはまるで子供のようにウキウキとした様子でお箸を持って、テーブルの上に並んだ料理を見た。

「どれも俺の好きなのばっかりだな。やっぱ最初はこれだな」

 うれしそうに笑顔でミートローフを頬張り「うまい」と満面の笑みを見せてくれた。その顔を見られたことが、とってもうれしくてわたしの胸がいっぱいになる。

 次々と料理を口に運ぶ紘也さんをずっと見ていた。どれも本当においしそうに食べる。

「たくさんありますから、ゆっくり食べてください」

「そうしたけど、うますぎて止まらない。機内食抜いたかいがあった」

「本当に抜いたんですか?」

 炊き込みご飯を頬張りながら、うんうんとうなずく彼を見て呆れたとともにうれしくなる。わたしのなんてことない手料理を楽しみしてくれて、そしておいしそうに食べてくれている。
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