副社長と秘密の溺愛オフィス

⑱副社長の愛の告白

今、何時ごろだろうか。時計を見て時間を確認する。今頃はきっと定例会議の時間だから――。

 自宅のベッドに転がって職場に思いをはせる――元、職場だ。

やることもなく、ぼーっとしているから余計なことばかり考えてしまう。

だったら部屋の掃除でもしようと立ち上がったところで、スマートフォンが鳴りドキッとする。

期待してディスプレイを見てがっかりする。ここ数日同じことの繰り返しだ。

 紘也さんが電話をかけてくるはずないじゃない。

 電話の相手は石丸さんだった。わたしが退職前の有給消化に入ってから、副社長の臨時秘書をしてくれている。急な退職で引継ぎもあまりできておらず、迷惑をかけていた。

何かあればいつでも連絡をしてくれて構わないといってあったので、頻繁に電話やメールがある。


「もしもし」
『あ、乾さぁん。石丸です。助けてくださぁい。今お時間大丈夫ですか?』

 すがるような声から、仕事が大変なんだと察する。わたしのわがままで彼女にも迷惑をかけてしまったことを申し訳ないと思う。

「大丈夫です? なにかありましたか?」

『あの探している資料が見つからなくて、前年度の……』

「あぁ、それなら――」

 説明するとすぐに見つかったようだ。それに付随する仕事についても説明しておいた。彼女は見た目のんびりしているが仕事が早い。きっと紘也さんの役にも立つだろう。
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