副社長と秘密の溺愛オフィス
 気がついて一気に不安が大きくなる。

 自分の身体に起こっている変化が、事故そのものが原因でないことのような気がする。それよりももっと重大な何かが・・・・・・。

 嫌な予感に襲われながら、おそるおそる自分の姿を鏡に映す。

「え?」

 後ろを振り返っても誰もいない。鏡に映っている人物がいるはずなのに・・・・・・。

 もう一度鏡を確認する。

 そこには間違いなく副社長姿が映されていた。

 何度見ても映し出されているのは間違いなく、甲斐副社長だ。

 いつものわたしの姿など、ひとかけらもない。

「わたしが・・・・・・副社長!?」

 受け入れられない現実を目の前に突きつけられたその瞬間――。

「きゃあぁあああああぁあああ!」

 某二丁目で聞こえるような雄叫びを上げて、わたしは意識を手放した。

 そして薄れていく意識の中で、遠くから「嘘だろー―!」という金切り声が聞こえてきた気がした。
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