副社長と秘密の溺愛オフィス
⑥最初の関門
豪華なマンションのリビングに、重い重い空気が流れる。
わたしと副社長が並んで座り、その前にお母様が難しい顔をして座っている。
先ほどから三人、誰ひとり言葉を発することなく、物音さえもたてずにいた。
重苦しい空気に耐えられない。
「あの、お茶淹れてきます」
「あら、紘也がわたしにお茶? 槍でも降るのかしら?」
またやってしまった。わたしは今副社長なのに……。何か行動を起こすたびに失敗してしまう。焦っているわたしに気が付いた副社長が立ち上がる。
「お茶は秘書の役目ですから、わたしが淹れてきます」
そういってキッチンの方へ消えていった。
え、ひとりにしないで……。
いくらオープンキッチンとはいえ、お母様とふたり取り残されるわたしの身にもなってほしい。
「とにかく今の状況を説明してちょうだい」
腕組みをしたお母様が、怖い顔でこちらを睨みつけている。
わたしはどうしたらいいのかわからず、小さく縮こまりチラリとキッチンのカウンターでお茶を淹れる副社長に助けを求めた。
何か口ぱくで伝えようとしてくれているが、何をいっているのかさっぱりわからない。
「聞いてるの、紘也!」
「はぃいい!」
思わず背筋を伸ばして返事をした。そんなわたしを見て副社長はキッチンで頭を抱えている。
「下手な言い逃れはできませんよ。彼女とはどういう関係なの?」
やっぱりきた。完全に誤解している。
「あの、お母様……」
「お母様ですって! そんなことで機嫌を取ろうとしてもそうはいきませんからね。きっちり説明を聞いて納得できるまで、今日は帰りませんから」
はっきりと宣言されて、途方に暮れる。
わたしと副社長が並んで座り、その前にお母様が難しい顔をして座っている。
先ほどから三人、誰ひとり言葉を発することなく、物音さえもたてずにいた。
重苦しい空気に耐えられない。
「あの、お茶淹れてきます」
「あら、紘也がわたしにお茶? 槍でも降るのかしら?」
またやってしまった。わたしは今副社長なのに……。何か行動を起こすたびに失敗してしまう。焦っているわたしに気が付いた副社長が立ち上がる。
「お茶は秘書の役目ですから、わたしが淹れてきます」
そういってキッチンの方へ消えていった。
え、ひとりにしないで……。
いくらオープンキッチンとはいえ、お母様とふたり取り残されるわたしの身にもなってほしい。
「とにかく今の状況を説明してちょうだい」
腕組みをしたお母様が、怖い顔でこちらを睨みつけている。
わたしはどうしたらいいのかわからず、小さく縮こまりチラリとキッチンのカウンターでお茶を淹れる副社長に助けを求めた。
何か口ぱくで伝えようとしてくれているが、何をいっているのかさっぱりわからない。
「聞いてるの、紘也!」
「はぃいい!」
思わず背筋を伸ばして返事をした。そんなわたしを見て副社長はキッチンで頭を抱えている。
「下手な言い逃れはできませんよ。彼女とはどういう関係なの?」
やっぱりきた。完全に誤解している。
「あの、お母様……」
「お母様ですって! そんなことで機嫌を取ろうとしてもそうはいきませんからね。きっちり説明を聞いて納得できるまで、今日は帰りませんから」
はっきりと宣言されて、途方に暮れる。