副社長と秘密の溺愛オフィス
そろそろ潮時かもしれないな……。

 ふと手元に置いてある週刊誌に目をやる。表紙には大きな赤い字で【㈱甲斐建設の御曹司、次のお相手は女優!】と掲載されている。

 今年に入って何人目だろうか。副社長のお相手と噂される人物を見聞きするのは。

「はぁ……」

 誰もいないのをいいことに、大きなため息をついた。

 見ないほうが精神衛生上良いことはわかりきっているのに、つい好奇心に負けてページをめくってしまう。

 するとすぐに、自分のボスである副社長の顔が誌面に現れた。モノクロの写真だったが、それでも輝くほどの魅力が伝わってくる。

 甲斐建設の御曹司。仕事もできて、皆が振り返るほどの容姿をしていて……。

 世の中の女性たちが放っておくわけがない。

 そして彼自身も、美しい女性たちの時間をそれなりに楽しんでいた。

 〝それなり〟といったのは、彼は特定の女性と長く付き合うことはなかったからだ。

 気がつけばいつも隣に新しい女性が立っているような状態だ。

 しかしどの女性も、彼に釣り合うような素敵な女性ばかりだった。
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