30センチのきょり


…やっぱり。

そうだよね。ずっとそう思ってたもん。


泣くもんかっ。

ここで泣いたら、めんどくさい女だって思われちゃう。


「いま、まで、ありがとうっ」


それだけ言いたかった。


「私、寄るところあるから…じゃあ、ね」


もう無理だ。


涙がこぼれそう。


だから、私は嘘をついて家の方面に走っていった。


私、遥くんと付き合えて幸せだったよ。


ちゃんと、好きだったよ、遥くんのこと。

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