クールアンドドライ
 すごい!
凄いよこの人。
もう契約取っちゃったよ、この人。
 町田デンキ本社に着いてから、すぐに調子の悪いコピー機の原因を突き止め、「これなら修理するより、買い替えたほうが・・」とか何とか言いながら、ちゃっかりリース契約に、こぎ着けやがった。

 私は、隣でにこにこしてただけ。
まぁ、新人を連れて来たって課長も言ってくれてたし、いいんだけどね。

 それにしても、どうして私をつれてきたんだ?
もしかして、彼は、彼なりに、私に教えてくれているの?
先週末に、あんな事言ったから。

 町田デンキ本社を出て、駐車場の前まで来た。
「では、私は、外回りしていくので、失礼します。」
そう言って、この場を離れようとした。
早速、歩き始めようとした、が、歩けない。
腕を捕まれたからだ。
「課長、何ですか?」つい、数時間前に言ったセリフを、もう一度言うことになるとは・・
思わず、ため息が出てしまうのは、仕方がない。
「もうちょっと、付き合え。少し早いがもう昼飯にしよう。」

 えええーーやだーーっ。
という、心の声を抑えるのに苦労した。
お昼はいつも1人で食べてるのに!

「えっと、、午後にアポがあるので、、出来れば、、」
察してくれ、と願いながら言ってみる。
「それって2時からだろう。そんなに時間は取らせないから、大丈夫だ。」
何で知ってやがる!!
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