クールアンドドライ
　「なぁ、咲希は、今日、ここに来るの面倒くさかった？」
唐突にそう訊かれた。
それはない。なので思いっきり首を横に振る。
　それを見て、笑われたけど、それから更に「じゃあ、俺のこと好き？」と、訊かれた。
今度は、縦に首を振る。

　「なら、大丈夫だよ。喧嘩しても、合わないって思っても、好き同士なら、何とかなるって。」
「なんか、あっくんばっか、余裕でムカつくー」
「そこは、格好つけさせろ。」そう言って笑うから、一緒に笑ってしまった。何が可笑しいのかよく、分からなかったけど。

　ただ、漠然とだけど、大丈夫だって思えた。　
恋なんて出来ないと思ってたけど、どうやら私は、ちゃんと恋をしているらしい。
だって、目の前で笑う彼をとても好きだと思うから。
この気持ちを忘れずにいたいと願う。
そして、願わくば、彼も同じように想ってくれますように。
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