クールアンドドライ
 「えっ本当ですか?」
「嘘を言ってどうする?これはもう決定事項だ。」
なんか、複雑ーーー。
どうやら、私は来月からまた、営業事務に戻されるらしい。
はぁー、せっかく営業でも頑張ってやっていこうと思ってたのに。

 課長は、私の気持ちが分かったのか、「まぁ、営業でも頑張ってくれたのは分かってるから。この、経験を持ち帰って、営業事務でも、頑張ってくれ。」そう、励ましてくれた。

 それからは、基本的に、課長の補佐みたいな仕事をした。
主に、課長に頼まれた会議用の資料の作成だったり。
ただ、困ったことに、課長と話す機会が多くなった。
資料室で、汚名返上できないと言われて以来、何となく、メガネを掛けずに話している。
当然、顔は好みなのだ、ヤバい!
たまに、笑顔とか向けられると、ドキンとする。
マジでヤバい!

 後、一週間。
その呪文をひたすら頭の中で唱えた。

 そして、とうとう最終日。
平日ということもあり、送別会の予定もないので、定時にあがることにした。

 帰る準備をしてると、「滝本、ちょっといいか?」と、課長に声をかけられた。
返事をしながら、課長のデスク前に移動する。
 「これを読んどいて欲しいそうだ。」
そう言って、一枚のプリントを渡された。

 それには、(会社近くで待っていろ。)という命令文が書かれていた。
「詳しくは、メールで聞いてくれ、だそうだ。」
取り敢えず、分かりました、と言って退社した。
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