クールアンドドライ
 佐々木課長に怒鳴られた翌週、私は、資料室に居た。
営業に出たことがないから、製品の違いがよくわからない。
私の今までの知識じゃ足りない。
自社製品の勉強のため、資料室に通っていた。
 
 ガチャガチャとドアが開いて、人が入って来るのが分かった。
今までにも、そういうことがあったので、特に気にしてなかった。
資料室には、机と椅子が置かれていて、そこで資料を見ていた。
 「こんなところで、何してんだ?」
聞き慣れた冷ややかな声がした。
 顔を上げると、相変わらず好みだわーと思うイケメンが、軽蔑の眼差しでこちらを見ていた。
さぼってんじゃねーよ、と言いたそうな目に、
ムカついた。
「自社製品の勉強をして、何が悪いんですか?」睨みつけるようにして言ってやった。

「別に、悪くはない。売り上げに繋がるんならな。」フッと鼻で笑い、そう言ってきた。

 ああ、コイツ嫌いだ!
人を馬鹿にするような態度も。
仕事を教えようともしないところも!
すべてが、理想の上司とかけ離れてる!

「失礼します。」
手元の資料を纏めて持ち、さっさと資料室を出た。
ああ、ムカつくムカつくムカツクーーー!

 課長の嫌みが効いたのか、その日の午後、初めて一件の契約がとれた。
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