クールアンドドライ
　「吉沢くんと、デートしてたんだって？付き合ってるの？」
直球で聞かれた。
「もう、噂ってどこまで広がってるんでしょうか？」
「さぁ？でも、私が知ってるくらいだから、本社のほとんどに、知れ渡ってるんじゃないの？」
「げー、マジですか？はぁ～、ただ単に、夕飯奢ってもらっただけなんですけどね。」

　杉本先輩も、私と同じで社内の噂とかに興味がない人だ。
彼女が人事部に異動になったのは、そういった部分も考慮されているのかもしれない。
噂好きな人は、お喋りな人が多いから、人事のことをうっかり話されたら、大変だ。

　「人の噂も７５日よ。あまり気にしなくていいんじゃない？」

「それも、そうですよね。気にするのも面倒臭いし。」

「気にしたところで、何も変わらないしねー。」
「さすが、杉本先輩。解ってらっしゃる。」
「当然！」
２人で、笑いあった。

　他人に関心がない私だけど、新人の時から面倒を見てくれた杉本先輩とは、直ぐに打ち解けた。
彼女と私は、考え方が似てるからかもしれない。
人は人、自分は自分、みたいな感じ。
基本的に、他人からどう思われようと、あまり気にしない。
要は、他人に興味がない。
　そして、更に私は、基本的に、独りでいる時間が好きだ。
寂しがりやとは、多分対極にいる。
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