クールアンドドライ
 結構な永さの、ガッツリキスのあと、不意に我に返って、ものすごーく、恥ずかしい。
何しちゃってるんだ!私。

 取り敢えず、俯いてます。
彼は、そんな私に構うことなく、また、ギュウギュウと抱きしめてくる。
顔を見られなくて済むから、助かるけど。
そして、「クリスマスは、空けとけよ。」と言われた。
そう言い残して、課長はこの名残惜しさを微塵も感じさせず、帰っていった。

 何だったんだろう?
冷静に考えると、付き合ってくれとか、好きとか、言われてない。
まぁ、私も言わなかったけど。

 月曜日、何時もと変わらないように注意して、出勤した。
念の為、デスクにつくなりメガネを掛けた。

 でも、浮かれていたんだと思う。
それが判ったのは、クリスマスイブの水曜日だった。

 今年は週の真ん中がイブだ。
そして、水曜日は会社が決めたノー残業デイだ。

 あまり営業には関係がないが、午後8時には強制的に退社させられるらしい。
らしいというのは、さすがに8時まで会社にいたことがないから。

 だから、今日はデートの約束してたのに。
< 75 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop