クールアンドドライ
 はあぁー、凹むわー。
ロッカールームで、私服に着替えながら溜め息ががでた。事務員は、制服があるのだ。

 今日は、課長とデートの予定だったので、気合いが入ってもいた。
その服装も、今となっては、虚しいだけだ。
しかも、スカートなんて選んじゃったから、寒いだけだし。
その服に着替えたら、何だか益々、虚しくなった。

 浮かれていたんだろうか?
青木さんが去り際に言った一言。
浮かれてるからだろっ!
それは、私に言ったというより、独り言に近かった。
まぁ、大分、声が大きかったけど。

 昼休みに入ってすぐ、藤森さんに「私って浮かれてるようにみえましたか?」と聞いてしまったくらいに、ショックだった。
藤森さんは、「ああ、沙織と喧嘩中だから、機嫌が悪いのよ、気にしない方がいいよ。」
と、フォローしてくれた。
肝心の答えは、もらえなかったけど。
取り敢えず、青木さんと小田さんは喧嘩中らしい。
 ミスをしたのは自分だけど、何だか八つ当たりだったのかと思うと、それはそれでなんかムカつく。
はぁー、さっさと帰ろう。
もう、夕飯はコンビニでいいや。
吹っ切る為に、勢いよくロッカーを閉めた。
余りの勢いに、ロッカーのドアが跳ね返って来て、驚いた。

 ふはっと、思わず笑ってしまった。
それから、少しだけ気が抜けた。
エレベーターを降りる頃には、大丈夫だと思えるようになっていた。
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