クールアンドドライ
 「へ?」
何かやらかした?
不安になり、ゆっくり頭をあげて彼の方を見た。
 彼も私を見ていて、ちょっと苦笑しながら、「無意識かよ。」と、溜め息を吐いた。

 うーん、何が?
考えていると、彼の顔がニヤニヤ顔に変わっていく。
「まぁ、咲希の気持ちは解った。」
そう言われて、今までの会話を振り返ってみた。

 わっ、きゃーーっっ!!ハズイ!
そっか、あれは課長が好きだと言ってるようなもんか。
恥ずかしくて、こたつでうつ伏せになった。
「うーーー、ハズカシいーー、課長のばかーっそこは、スルーしてよーー」
うつ伏せのまま、文句を言う。
ああ、このまま寝てしまいたい。
そう思ったとき、「こたつで寝るなよ~。」という声が聞こえた。
「はーい」と、適当な返事をして、起き上がった。
 私が、ひとしきり悶えている間に、テーブルの上を片付けてくれたらしい。
ケーキのお皿も、食べ残しのケーキも消えていた。勿論、ワインもねっ!

 「ほら、これ飲んで。」と、テーブルに冷たい水の入ったコップが置かれた。
至れり尽くせりである。

 はぁー、冷たい水が染み渡っていく。
さっきので、酔いが覚めた!とか思ってたけど、いまのでやっと落ち着いた。
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