クールアンドドライ
 確かに!!パートツー!!
なんとなく気付いていたけど、とくに気にしてなかった。
「咲希は、彼氏を役職で呼ぶのか?」
「いや、さすがに、彼氏は役職なんかで呼びませんよ。というか、その・・いつから、そうなったんですか?」
「日曜日のが、お前の答えじゃなかったのか?」
あっ、ちょっと怒ってるっぽい。
顔が見えないから、よく分からないけど。
そうか、そうなるのか。
あの時のキスで付き合いが始まったのか。

 「なるほど~、これが大人の始め方かぁ~。でも、出来れば、好きです、とか、付き合ってください、とか、言って欲しかったなぁ~。」
「俺は、とりあえず、名前で呼んで欲しいんだけど。」

 うっ!!
そうだった!
理想を語ってる場合ではなかった。
「なんて呼べばいいか分かんない。」
「好きに呼べばいいだろ。」
「うーー」
呼び捨てはちょっと出来ないし、さん付けもなんだか、むず痒い。
色々考えた結果、浮かんだのが、「じゃあ、あっくん、でいいですか?」
「随分、懐かしい呼ばれかただな。最近じゃ、お袋も呼ばねーぞ。」
「そうですか、じゃあ、今はなんと?」
「普通に、呼び捨て。」

「じゃあ、あっくんって呼ぶの、私だけ?」
「ああ。」
「なんか、特別みたいで嬉しい。」
そう言うと、後ろから抱きかかえられていた腕に、ぎゅっと力を入れられた。
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