クールアンドドライ
 それに対し"何か買ってく物ありますか"という文字だけの、全然可愛くない返信しか出来なかった。
課長よりも、女子力というものが無い気がした。

 それでも、定時であがって、ドラッグストアでウキウキと買い物を済ませた。
一度帰宅して、着替えてから行くことにした。

 いつもより多めの荷物を抱えて、バスに乗り込んだ。
バス停を降りて、少し歩く、そう言えばこっちにもドラッグストアがあったんだ。
こっちで買えばよかった。
どうやら、彼氏のお見舞というシチュエーションに、テンションが上がっているらしい。

 ピンポーンと、呼び鈴をならした。
ドアが開けられて、調子の悪そうな彼が見えた。
「大丈夫ですか?とりあえず寝ててください。」
ズカズカと上がり込み、彼を寝室に押し込んだ。
とりあえず、スポーツドリンクを渡し、様子を伺う。
「何か食べられそうですか?」
「ああ、寝てたからだいぶ良くなった。インフルエンザじゃないから、そこまで警戒しなくて良いぞ。」
「へへ、すみません。」
寝室のドアの外側からちょこっとだけ顔を出していた私は、おずおずと部屋の中へ入った。
「ありがとうな。薬飲みたいから、何か軽く食えるもんがあるか?」
「あ、じゃあ作りますね。」
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