クールアンドドライ
 「あの~、あっくん、私、そろそろ・・」
「ああ、お風呂入っておいで」
「いや、やっぱり帰ろうか・・」
ヒイッヤバイ、彼の顔が、険しくなっていく。
「あ、あっと、やっぱりお風呂入って来ます。」そう、言わざるをえなかった。


 ハァ~、お風呂上がり、とりあえず、のんでもいいでしょうか?
冷蔵庫の扉を開けて、取り出した缶ビール。
まぁ、正確にいうとビールではないが、安いやつね。
その場でプシュッと開けて、飲んだ。

 呑まなきゃやってらんねぇぜ。
だって、何となく、嫌な予感がするから。
ダイニングテーブルの椅子に座り、缶ビールを飲んでいた。

 「咲希、いつまでそこに居るんだ?」
ダイニングのドアを開けて、あっくんが聞いてきた。
ヒイッ、バレてる。
作戦がバレてる。
先に寝ててくれれば良いのに作戦が、バレている。
「早く来いよ。」
それだけ言って、彼は去って行った。
いや~、もうちょっとだけ、酔わせて欲しい。

 しばらくしてから、寝室へ向かった。
ベッドを見ると、彼はもう寝ているようだった。

そーっとベッドに潜り込む。
良かった、彼は寝ているようだ。

 そうでは無かったみたい。
「やっと来た。」声が聞こえたのと同時に背後から、抱きしめられた。
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