輝く星に手を伸ばして
それは嫌なんだ。
「でも……!」
「大川、おめでとう。美人な彼女ができてよかったね。イブのことはまた連絡して」
あたしはこれを笑顔で言うので精一杯だった。
これ以上大川を目の前にしていたら泣いてしまいそうで、あたしは香苗を連れて教室を出た。
……今までで最悪な誕生日だ。
「綾乃は優しすぎ!なんなの、あの男。最低!」
香苗があたしの代わりに怒りをあらわにしてくれているだけで、なぜか気分が晴れた。
「で?イブ、行くの?」
行かない、と即答できなかった。
もしかしたら、これ大川を諦めるいい機会かもしれない。
「……行ってくるよ。ちゃんと、諦めてくる」
すると、香苗は悲しそうに笑った。
三日後、クリスマスイブになった。
大川からもう一人男子を呼ぶか聞かれたけど、断った。
行くとは言ったけど、すぐに帰るつもりだから。
だって、精神的にきついでしょ。
待ち合わせ場所に行くと、もう大川が来ていた。
早瀬さんはあたしより十分程度遅く来た。
「待たせてごめんなさい!」
「いいよ、そんなに待ってないし」