輝く星に手を伸ばして
いつもは一秒でも長く大川の隣にいたいって願うのに、今は一分でも早く、大川の前からいなくなりたかった。
「問題は早瀬のなんだよなー……」
きっと独り言。
わかってる。
それなのに、大川のその言葉が頭から離れなかった。
好きな人、早瀬って名前なんだ……
「岡田ー。この子に似合うもの選んで」
大川の後ろを黙ってついて歩いていたら、急に振り返ってスマホの画面を見せてきた。
「は?なんでよ」
そう言いながら、横目で画面を見る。
可愛いというより、美人。
後輩らしいけど、全然先輩にも見える。
「へー、綺麗だね、早瀬さん」
「だろ。だから俺、自信なくてさ」
本当に逃げ出したい。
なんであたし、こいつの恋愛相談なんか受けたんだろう。
ただ、自分が苦しくなるだけだって、わかってたのに。
もう今さらか。
こうなったら、二人に付き合ってもらって、あたしは友達ポジションを守っていこう。
「なに言ってんの。ここまで来たんだから、その子に似合うの選んで、ロマンティックなところで告白しなよ」
「でもさー」
「ほら、うじうじしない!大川流星は優しくてカッコいいんだから、自信もってよ。異性で一番仲がいいあたしが言うんだから、間違いない!」
自分で言ったくせに、落ち込んでしまう始末。