クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
それから私は幹弥との仕事を淡々とこなしていた。開発経済論は金曜三限。外部講師の彼が大学に顔を出すのも週一だ。
弘瀬先生もさすがに私にすべて任せっぱなしということもなく、講義の前後でちょこちょこ顔を出してくれたし、幹弥とふたりになることもほとんどない。
案の定、彼の講義の評判は瞬く間に広がった。学生の間でも、職員の間でも。弘瀬先生の見立ては正しく、幹弥は喋るのが上手かった。よく通る声、飽きさせない話術、わかりやすい説明。おまけにあの顔と肩書きだ。
講義が終わって、片付けに部屋に顔を出しても、彼は多くの学生に囲まれていた。そのほとんどが女子だったりするけど、驚くことはなにもない。学生の頃から見慣れていた光景だ。
おかげで私と彼がなにか余計な話をすることもない。後期が終われば、関わることも会うこともない。そうやって日々が過ぎ去っていくことだけを願っていた。
それが崩れたのは忘れもしない十月も半ばが過ぎた頃の金曜日。私は久しぶりに仕事終わりに仲のいい同僚の女子たち数人と飲みに出かけた。
まっすぐに家に帰ることが多かったから、久々で楽しめると思った。楽しまなきゃと思った。ほとんど料理は食べないまま、普段はあまり飲むことがないお酒を積極的に口にする。
他愛もない話に大袈裟に笑う一方で、心は重く沈んでいく。相反する気持ちに吐きそうになるのを必死に堪えて午後九時半過ぎにお開きとなった。
二次会に行こうか迷いつつ、言い知れぬ疲れが襲ってきて、私は同僚たちに帰る旨を伝えた。
こんなふうに時間を過ごすのはいつぶりだろう。仕事の愚痴を言い合って、女子ばかりだから多少の恋愛話もあって。
弘瀬先生もさすがに私にすべて任せっぱなしということもなく、講義の前後でちょこちょこ顔を出してくれたし、幹弥とふたりになることもほとんどない。
案の定、彼の講義の評判は瞬く間に広がった。学生の間でも、職員の間でも。弘瀬先生の見立ては正しく、幹弥は喋るのが上手かった。よく通る声、飽きさせない話術、わかりやすい説明。おまけにあの顔と肩書きだ。
講義が終わって、片付けに部屋に顔を出しても、彼は多くの学生に囲まれていた。そのほとんどが女子だったりするけど、驚くことはなにもない。学生の頃から見慣れていた光景だ。
おかげで私と彼がなにか余計な話をすることもない。後期が終われば、関わることも会うこともない。そうやって日々が過ぎ去っていくことだけを願っていた。
それが崩れたのは忘れもしない十月も半ばが過ぎた頃の金曜日。私は久しぶりに仕事終わりに仲のいい同僚の女子たち数人と飲みに出かけた。
まっすぐに家に帰ることが多かったから、久々で楽しめると思った。楽しまなきゃと思った。ほとんど料理は食べないまま、普段はあまり飲むことがないお酒を積極的に口にする。
他愛もない話に大袈裟に笑う一方で、心は重く沈んでいく。相反する気持ちに吐きそうになるのを必死に堪えて午後九時半過ぎにお開きとなった。
二次会に行こうか迷いつつ、言い知れぬ疲れが襲ってきて、私は同僚たちに帰る旨を伝えた。
こんなふうに時間を過ごすのはいつぶりだろう。仕事の愚痴を言い合って、女子ばかりだから多少の恋愛話もあって。