クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「なに? ミッキーって呼びたい?」
黙っている私に彼はおかしそうに聞いてくる。その瞳と視線が交わり、私はふいっと体勢を戻した。
「俺も名前で呼んでるし、遠慮しなくていいよ」
そういえば、彼は私のことを当たり前のように『優姫』と呼んでいた。もちろん、それはここで会うときだけで、ゼミで会話するときは『片岡さん』だけれど。
使い分けるくらいなら、わざわざ名前で呼ばなくてもいいのに。
「べつに『名前で呼んで』なんて頼んだ覚えはないけど」
そんな事情もあって、ついひねくれた言い方をしてしまった。しまった、と思ったけれどもう遅い。でも、もっと違う名前だったら……。
「自分の名前、嫌い?」
彼からまっすぐに質問され、心の中を覗かれたような錯覚に陥った。
「嫌い、というより似合わないから」
『姫なんて似合わないだろー』
ずっと一馬に言われてきたことが脳内で再生される。でも、否定することもできない。自然と顔を歪めていると、それを止めるように、前触れもなく頭に温もりを感じた。
驚いて顔を上げると、桐生くんが優しく笑って私の頭に手を伸ばしている。
「なんで? 可愛いよ」
その言葉に、石を投げ込まれたみたいに、一瞬にして心の中に波紋が広がる。瞬きもできず固まったままでいる私に、彼はどこか裏がありそうな人のいい笑みにふっと切り替え微笑んだ。
「大丈夫。飼い猫に『騎士』と書いて“ナイト”と読ませるような優姫は十分に可愛らしいって」
これでもかというくらい目を見開き、続けてすぐに動揺が体中を駆け巡る。思わず立ち上がってしまうほどに。
黙っている私に彼はおかしそうに聞いてくる。その瞳と視線が交わり、私はふいっと体勢を戻した。
「俺も名前で呼んでるし、遠慮しなくていいよ」
そういえば、彼は私のことを当たり前のように『優姫』と呼んでいた。もちろん、それはここで会うときだけで、ゼミで会話するときは『片岡さん』だけれど。
使い分けるくらいなら、わざわざ名前で呼ばなくてもいいのに。
「べつに『名前で呼んで』なんて頼んだ覚えはないけど」
そんな事情もあって、ついひねくれた言い方をしてしまった。しまった、と思ったけれどもう遅い。でも、もっと違う名前だったら……。
「自分の名前、嫌い?」
彼からまっすぐに質問され、心の中を覗かれたような錯覚に陥った。
「嫌い、というより似合わないから」
『姫なんて似合わないだろー』
ずっと一馬に言われてきたことが脳内で再生される。でも、否定することもできない。自然と顔を歪めていると、それを止めるように、前触れもなく頭に温もりを感じた。
驚いて顔を上げると、桐生くんが優しく笑って私の頭に手を伸ばしている。
「なんで? 可愛いよ」
その言葉に、石を投げ込まれたみたいに、一瞬にして心の中に波紋が広がる。瞬きもできず固まったままでいる私に、彼はどこか裏がありそうな人のいい笑みにふっと切り替え微笑んだ。
「大丈夫。飼い猫に『騎士』と書いて“ナイト”と読ませるような優姫は十分に可愛らしいって」
これでもかというくらい目を見開き、続けてすぐに動揺が体中を駆け巡る。思わず立ち上がってしまうほどに。