クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
謝罪の言葉を口にしようとしたところで、目の前の彼が、自身のテーラードジャケットのポケットを探り始める。おかげで私はそちらに意識をもっていかれた。
「はい。家で待っている“彼”にお土産」
差し出されたのは、猫のラベルが特徴のキャットフードの小袋だった。あまりにも不思議な組み合わせに、目が点になる。
しかし私では、なかなか買うことができない高級メーカーのものなのが、どこか現実味を帯びていた。それをそっと受け取って中身を確かめる。
「猫、飼ってるの?」
「いや」
あっさり否定されて、ますます訳が分からない。なら、これはどこから来たんだろう。頭に浮かぶ質問を口にする前に、彼は「でも」と続けた。
「好きだよ」
躊躇いもなく口にされた彼の言葉が、余韻を伴って私の耳に響いた。どこか穏やかな声だったから余計に。自分に言われたわけでもないのに、私の鼓動は勝手に速くなる。
「今度会わせてくれる?」
続けられた彼の言葉に私は急いで冷静さを取り戻した。
「でも家猫で。ようやく今のアパートにも慣れてきたところだから、病院以外、外に連れ出したことはなくて」
猫が好きなら会わせてあげたい気もするけれど、ちょっと家から出すのは怖い。桐生くんはそんな私の気持ちを見越していたかのように表情を崩さないままだった。
「うん、だから……」
そこで彼は言いよどむ。そして、やっぱりおかしそうに笑った。
「はい。家で待っている“彼”にお土産」
差し出されたのは、猫のラベルが特徴のキャットフードの小袋だった。あまりにも不思議な組み合わせに、目が点になる。
しかし私では、なかなか買うことができない高級メーカーのものなのが、どこか現実味を帯びていた。それをそっと受け取って中身を確かめる。
「猫、飼ってるの?」
「いや」
あっさり否定されて、ますます訳が分からない。なら、これはどこから来たんだろう。頭に浮かぶ質問を口にする前に、彼は「でも」と続けた。
「好きだよ」
躊躇いもなく口にされた彼の言葉が、余韻を伴って私の耳に響いた。どこか穏やかな声だったから余計に。自分に言われたわけでもないのに、私の鼓動は勝手に速くなる。
「今度会わせてくれる?」
続けられた彼の言葉に私は急いで冷静さを取り戻した。
「でも家猫で。ようやく今のアパートにも慣れてきたところだから、病院以外、外に連れ出したことはなくて」
猫が好きなら会わせてあげたい気もするけれど、ちょっと家から出すのは怖い。桐生くんはそんな私の気持ちを見越していたかのように表情を崩さないままだった。
「うん、だから……」
そこで彼は言いよどむ。そして、やっぱりおかしそうに笑った。