クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「ま、いいや。優姫のナイトによろしく」
自己完結してしまった彼に私は首を傾げる。そしてこの場を後にしようと背を向けた彼に私は慌てて声をかけた。
「これ、ありがとう……っ、幹弥」
取って付けたように名前を呼ぶと、彼は立ち止まって、ちらりとこちらを向いてくれた。向けられた視線が交わると、彼はわずかに口角を上げた。
「またね、優姫」
軽く手を上げて、そのまま去っていく彼のうしろ姿をじっと見つめていた。
不思議。初めて彼を知ったときは、自分とは別世界の人間だと思っていたから、あまり関わることもないし、関わろうとも思わなかった。
ここで彼の本音を聞かされたときは、衝撃しかなくて、あまりにも不遜な態度に嫌悪感さえ覚えた。それなのに、こうして何度も会うことになるなんて。
そしてきっと、彼の言う通りまたここで会うんだ。
なにをするわけでもない。お互い好きなように本を読んで、なんでもない会話を交わして。さっきみたいにからかわれることも『馬鹿だろ』って呆れられることもたくさんあった。
彼からの非難めいた言葉に胸が痛むこともあった。でも、なぜか嫌いになれない。会うのをやめようとも思わない。
本の続きが気になるのが一番の理由。けれど、それだけじゃなくて、私も彼の前では、変に気を使う必要も、無理することもなかった。楽だった。
自己完結してしまった彼に私は首を傾げる。そしてこの場を後にしようと背を向けた彼に私は慌てて声をかけた。
「これ、ありがとう……っ、幹弥」
取って付けたように名前を呼ぶと、彼は立ち止まって、ちらりとこちらを向いてくれた。向けられた視線が交わると、彼はわずかに口角を上げた。
「またね、優姫」
軽く手を上げて、そのまま去っていく彼のうしろ姿をじっと見つめていた。
不思議。初めて彼を知ったときは、自分とは別世界の人間だと思っていたから、あまり関わることもないし、関わろうとも思わなかった。
ここで彼の本音を聞かされたときは、衝撃しかなくて、あまりにも不遜な態度に嫌悪感さえ覚えた。それなのに、こうして何度も会うことになるなんて。
そしてきっと、彼の言う通りまたここで会うんだ。
なにをするわけでもない。お互い好きなように本を読んで、なんでもない会話を交わして。さっきみたいにからかわれることも『馬鹿だろ』って呆れられることもたくさんあった。
彼からの非難めいた言葉に胸が痛むこともあった。でも、なぜか嫌いになれない。会うのをやめようとも思わない。
本の続きが気になるのが一番の理由。けれど、それだけじゃなくて、私も彼の前では、変に気を使う必要も、無理することもなかった。楽だった。