クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
 それにしても、これが個人的なものなのか、大学の職員としてなのか、自分でも線引きができない。またなにか言われるかもと身構えた。

「いいよ、きいてあげる。彼女には連絡もしないし、学生たちとの交流もここだけだ。次からはもう少し、質問じゃないなら講義後の雑談も控えるよ」

 あっさりと宣言され、私の心はなぜか暗雲が広がる一方だった。なんだろう。すっきりなんて全然しない。いいことをしたとも思えない。

 自分の都合で、ただワガママを言っただけの気になる。おかげで、謝罪の言葉が衝いて出た。

「……ごめん」

「謝る必要ないよ。優姫にも俺のお願いを聞いてもらうから」

「はぁ!?」

 神妙な面持ちは一気に吹き飛ぶ。対する幹弥も、どこか楽しそうな表情だ。

「俺だけお願いを聞くのは、不公平だろ」

 ああ、またこの展開。そもそも私たちの間に公平さなんて一度だって存在しただろうか。

 イライラした気持ちを抑えるように、どういうことかと尋ねると、返ってきたのは予想をまったくしていないものだった。

「デートしよう」

 一瞬、自分の耳を疑う。それとも彼がなにかを言い間違えたのか。

「……意味がわからない」

「こんな簡単な日本語も理解できない?」

 神経を逆なでするような切り返しは、もう定番だ。私は訝し気に尋ねる。
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