運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


ど、どうしよう……。もともと、すぐにでも手術をしなきゃいけないような病状なんだよね?

でも、手術をできる人は限られているから、早苗先生はアメリカで手術を受けるつもりで……でも、こんな状況ではそんなこと言っていられないよ。

早苗先生を助けられるのは、彼しかいない。

私は咄嗟に携帯を取り出し、震える指で藍澤先生の番号に電話をかけた。当直明けだけれど、起きているだろうか……どうか起きていて……。

祈るような気持ちで呼び出し音を聞く。それが途切れたのは、五コール目だった。


「もしもし? 美琴ちゃん、どうし――」

「お願い藍澤先生! 早苗先生を助けて!」


叫ぶように言ったその後、必死になりながら今の状況を説明した。

きっとわかりづらい部分も多かったと思うけれど、藍澤先生は冷静で的確な指示をくれ、真帆と電話していた救急隊員にも話を通して、早苗先生は無事に神鳥記念病院に搬送してもらえることになった。


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