運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「あーあ、騙されちゃったな。私を誘い込むときは“自分たちが協力すれば、二人の仲を引き裂くことができるから、どうか手を貸してくれ”なーんて、下手に出てお願いしてきたくせにさぁ」
「引き裂くことは、です。しかし、その後藍澤天河があなたを選ぶとは言っておりません」
「そんなの、どうにでもしたわよ。危険日に誘って妊娠でもしちゃえばこっちのものだしぃ」
「ふっ……あなたも相当な外道ですね」
とか言いながら笑ってるよ、工藤さん。いつも優しい顔の裏で、そんな卑怯なことを考えていたなんて……。
どんどん青ざめていく私に対し、藍澤先生は訳知り顔で「なるほどね」と呟き、腑に落ちたような顔をしていた。そしてあろうことか、いきなり隠れている場所から立ちあがる。
ちょっと藍澤先生! 見つかっちゃいますよ……!
ひやひやして身を縮める私だけど、彼はもう隠れるつもりはないみたいで、二人に向かって呆れたように言い放つ。
「これじゃ、どっちが悪魔かわからないね」
「あ、藍澤先生……!」
「いつからそこにいたの……?」