運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「美琴ちゃんは? 子ども、何人欲しい?」
「うーん……二人くらいでしょうか。でも、まだいいです。結婚してすぐは、天河さんとの時間を大切にしたい」
そんな言葉とともに上目遣いで見つめられ、思わず胸がときめいた。
いつだって、彼女をドキドキさせようとあれこれ考える俺より、無自覚な彼女の方がいとも簡単に俺の理性を奪っていく。
偽物の恋愛経験なんて、本物の前では全く役に立たないのだと、彼女に教えられた気がする。
「……魅入られたのは、悪魔の方だったな」
「え?」
「なんでもない。……好きだって言ったの」
ちゅっと音を立てて、美琴ちゃんの頬にキスを落とす。
赤面して俺を睨む彼女は、おそらく俺のことをまた“悪魔”だと思っているに違いない。
実は、以前は疎ましかったその異名も、最近では気に入っているんだ。そんな風に思えるようになったのも、美琴ちゃんのおかげ。
……もっとも、悪魔になるのは、きみを可愛がる時だけなのだけど、ね。