運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
よかった……! 工藤さんに続いて、力強い味方を得た。もしかしたら、悪魔と結婚せずに済む方法もあるかもしれない。
少し気分が軽くなり、目の前のテーブルに出されていたハーブティーを啜ったその時だった。
コンコン、と副院長室のドアがノックされ、私はハッとして時計を見る。早苗先生は仕事中なのに、つい長居しちゃった。そろそろおいとましよう。
私が慌てて荷物をまとめる中、早苗先生が「どうぞ」と声を掛けると、ドアが開いて一人の人物が部屋に入ってきた。
「失礼します。美琴ちゃんが来てるって聞いたもので」
……げ。この声は。
嫌な予感がした私は、パッと背後を振り返る。そこには、ブルーのスクラブの上に白衣を羽織り、ポケットから聴診器をのぞかせた“医者”姿の藍澤先生がいた。
う……っ。基本的にどんな服装も似合う人ではあるけど、白衣姿はまた謎の色気が倍増している……。
「あら、噂をすればなんとやらね」
「噂って、俺のですか? 光栄だな、美女二人の会話に登場できたなんて」
「主に悪口よ、白衣の悪魔さん」