運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
……って、女友達とはいえこんな話するの恥ずかしくて死にそうだ。
赤くなっているであろう顔を隠すため俯き気味になっていると、真帆がとんでもないことを言う。
「それってさ、悪魔が色々お上手ってだけじゃなくて、美琴もちょっと彼に気持ちがあるんじゃないの?」
「え? まさか」
「だって……やだよ普通、嫌いな人とキスなんて、絶対無理。グーで殴ってでも阻止する」
そ、そういうものなのか……。じゃあ私、藍澤先生に惹かれてきてるってこと? いやいや、ありえない。
「それはないよ真帆。だって、相手は悪魔だよ? 私のこと、出世の道具としか思ってないんだよ?」
「あ、それなんだけどさ……」
真帆が急に表情を曇らせ、控えめな声のトーンで話し出す。
「研修先で、悪魔と親しかったっていう先生とちょっと話す機会があって、その人に聞いたんだけど……」
「うん。なになに?」
もしかして、悪魔の犯した過去のさらなる悪事が出てきた?
「女癖の件はともかく、出世どうこうっていうのは、彼の腕や才能に嫉妬したほかの医師たちが流した、ガセネタらしいよ。本当の彼……藍澤先生だっけ?は、患者の命を救うことを一番に考える、尊敬できる医者だって」
「うそ……!」