運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「どうしよう真帆……明日デートしようって」
「いいんじゃない? 悪魔をよりよく知れるチャンスだし、幻滅するようなことがあれば、婚姻届を目の前で破いてやればいいんだから」
そ、そんな簡単なものかな……? たとえ彼に幻滅しても、婚姻届を目の前で破くなんて勇気ないよ……。
友人の言葉にさらに迷いは深まりつつ、藍澤先生を待たせては悪いと再びスマホを耳に当てた。
「お待たせしてすいません……あの、デートって、どこへ?」
『美琴ちゃんは行きたい場所、ある?』
彼の出方を窺おうとしたのに、逆に聞き返されてしまった。
これってもう、デートに行くことは決定事項っぽい? 嫌なら、断ればいいんだろうけど……。
しばらく黙り込んで、胸に手を当てた。藍澤先生が悪魔なら、さらなる罠が私を待っているのかもしれない。でも……。
「……行きたい場所、ですか」
思い切って、デートしてみるのもいいかもしれないな。私はそんな気分になって、素直に行き先を考えることにした。
藍澤先生の“悪魔の顔”を警戒していることに変わりはない。でも、真帆の話を聞いて、もうちょっと彼のことを深く知ってもいいかなって気持ちも、芽生えてきたから。