運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
『今のが美琴ちゃんの素直な気持ちだと受け取っておくよ。……じゃあね、おやすみ。また明日』
「ち、ちがっ! 今のは決して――!」
私の弁解は間に合わず、電話そのまま切れてしまった。静かになったスマホを見つめて呆然としていると、今度は友人からの生暖かい視線を感じた。
「なんだかんだ、悪魔とうまくいきそうだね」
「違うって! 今のはなんかほら! 社交辞令みたいな感じでつい!」
ムキになる私を、真帆はさらに窮地に追い込もうとする。
「しかも美琴から温泉なんてえっっろい場所誘ってたし」
「えっ! うそ! 温泉って、そんなイメージ!? そもそもうちらは日帰りだよ?」
「日帰りだって、カップルなら貸切風呂使っていちゃいちゃしたり、旅館で浴衣貸してもらって部屋も取って、あ~れ~ってくるくる回されたりするでしょうよ」
「ぜっっったいそれ真帆の偏見!」
もう!とぷりぷりする私に、真帆はお腹を抱えて笑っている。どうやらけっこう酔っぱらっているらしい。
真帆にしては珍しいな。そういえば、私の話ばかりで真帆の話全然聞いてないけど、何か悩みでもあるんじゃ……。