運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「ちょ、ちょっと……」
「貸して。会計してくる」
「いや、自分のは自分で買います」
「いいよ。俺たちこの先夫婦になるんだから、どうせ同じ家計になるでしょ」
そう言うと、ひょいっと私の手からかごを取り上げて、レジに持って行ってしまう藍澤先生。
ま、まだ同じ家計になると決まったわけじゃないですけど……。
悶々としながらも、それほど高い買い物じゃないのでとりあえずありがたくおごってもらうことにした。
会計を終えた彼にコンビニの外で私の分の袋を渡され、不本意ながらもいちおうお礼を言う。
「……ありがとうございます。ところで、そのチョコなんですか?」
「ん? 全部俺の。甘いものに目がないんだ。糖分で頭も働くしね」
「あー……。なんかイメージ通りです。藍澤先生って、人生においても甘い汁ばっかり吸うタイプですよね」
工藤さんに聞いた話のせいか、ついつい嫌味が口から出てしまった。藍澤先生がキョトンと目を丸くする。
「ん? どういう意味?」
この際だ。せっかく本人が目の前にいるのだから、早苗先生の件をハッキリ聞いてしまおうか。私は小さく息を吸って、単刀直入に切り出した。