眠らせ森の恋
どうやら、スパイのさがのようです
「どうも社長をこてっと寝かそうとしているようですよ」
仕事の報告が済んだあと、西和田が去らないな、と奏汰が思っていると、彼は、急にそんなことを言い出した。
ふうん、と言いながら、何故、お前、つぐみの様子を俺にチクる……と思っていた。
スパイ癖か?
自分ではなにも疑問に思っていないようで、では、と去ろうとする西和田を呼び止めた。
「待て、西和田」
はい? と振り向いた西和田に、さっき外に出たとき、たまたまエレベーターで一緒になった掃除のおばちゃんがくれた飴を投げてやる。
「お駄賃だ」
これでっ? という顔で西和田は、こちらを見た。