眠らせ森の恋
 次々変わるつぐみの顔色を見て、奏汰は笑っているようだった。

「た……たっぷり食べてください」
と言う自分の声が震えていた。

 だが、まあ、満腹になると眠くなると言うからな……。

 そう思ったのだが。

 たっぷり食べたにも関わらず、奏汰は特に眠くもならないようで、普通に風呂に入りに行ってしまった。

 まずいなー。
 なにをしたらいいかなー? 

 今日こそ、白河さんのために孕はらまそう、とか思われてたらやだな~。

 なにが最も引っかかるかと言えば、白河さんのために、というところなのだが。

 つぐみは会社帰りに図書館でまた新たに借りてきた、眠くなる本を手にすると、ダイニングテーブルの側にしゃがみ込み、熟読する。

 酒で眠るのは、トイレに行きたくなって目が覚めたりするからよくないって書いてあるけど、とりあえず、寝てもらえばいいわけだから。

 やはり、即効性があるのは酒だなっ、とつぐみは立ち上がった。




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