眠らせ森の恋
 とくとくとくとくとく……

 美しいグラスに注がれたワインが揺れる。

 脱衣場のダウンライトにグラスが光って綺麗だ。

 ……呑みたくなってきたな、と思いながら、いやいや、と首を振る。

 グラスとは別に手にしているものを見、つぐみは笑う。

 そっとその小瓶から、ワインに茶色い液体を垂たらした。

 しめしめ。

 これで奏汰さんは死――。

「つぐみーっ」

 すりガラスの扉が跳ね開けられ、ひゃーっ、と脳天から突き抜けるような悲鳴を上げたつぐみは飛んで逃げた。





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