眠らせ森の恋
さて、給湯室に行く時間だ、とつぐみが廊下を歩いていると、その給湯室の前に、英里ともう一人、今川正美(いまがわ まさみ)という先輩秘書が居た。
ともに、専務の秘書のはずだった。
「あら、配属の決まらない秋名さん。
今日はお茶当番?」
と言われる。
はい、と言って給湯室に入ろうとするが、入り口を塞がれた。
「ねえ、あんた、どういうつもり?
たいして仕事も出来ないくせに、チャラチャラして」
うーむ。
どうしたことだ。
ヤンキーとやらの多いゲーセンでもないのに、インネンを吹っかけられている。
初めての体験に、ドラマみたいだ、と思いながら、英里を見下ろしていた。
自分の方が背が高いからだ。