眠らせ森の恋
「まだいろいろ残ってるだろ」
でも、奏汰さんひとりを働かせるの、落ち着かないんだけどなーとちょっとソワソワしていると、奏汰はさっき、棚にしまったブランデーをまた取り出しながら、
「俺はお前にカクテルを作ってやるのが息抜きなんだ。
こっちがなにかしてやりたいと思ったときには、黙ってしてもらっとけ。
俺は、お前が美味しそうに呑んでくれれば、それでいい」
と言ってくる。
そ、そういうものなのですか。
ありがとうございます、と恐縮する。
でも、確かになー。
一生懸命作ったお料理を奏汰さんが美味しそうに食べてくれると、それだけで嬉しくなったりするもんなー、と思っているつぐみの目の前で、奏汰はさっきの卵に牛乳を混ぜ、火にかけていた。
ホットミルクのような湯気がふわっと香る。
落ち着くなあ、とつぐみは思った。
学生時代、冬に家に帰って、リビングの扉を開けると、ストーブと夕餉ゆうげの匂いが部屋中に広がっていて、なんだか、ほっとしていた。
あのときの感じに似ている。
「ミルクセーキみたいですね」
と白いミルクパンの中を覗き込みながら、つぐみは言った。
でも、奏汰さんひとりを働かせるの、落ち着かないんだけどなーとちょっとソワソワしていると、奏汰はさっき、棚にしまったブランデーをまた取り出しながら、
「俺はお前にカクテルを作ってやるのが息抜きなんだ。
こっちがなにかしてやりたいと思ったときには、黙ってしてもらっとけ。
俺は、お前が美味しそうに呑んでくれれば、それでいい」
と言ってくる。
そ、そういうものなのですか。
ありがとうございます、と恐縮する。
でも、確かになー。
一生懸命作ったお料理を奏汰さんが美味しそうに食べてくれると、それだけで嬉しくなったりするもんなー、と思っているつぐみの目の前で、奏汰はさっきの卵に牛乳を混ぜ、火にかけていた。
ホットミルクのような湯気がふわっと香る。
落ち着くなあ、とつぐみは思った。
学生時代、冬に家に帰って、リビングの扉を開けると、ストーブと夕餉ゆうげの匂いが部屋中に広がっていて、なんだか、ほっとしていた。
あのときの感じに似ている。
「ミルクセーキみたいですね」
と白いミルクパンの中を覗き込みながら、つぐみは言った。