眠らせ森の恋
 懐かしい味に新しい味が混ざっているけど、それはそれで美味しいな、と思ったとき、家族が増えてくのって、こんな感じなのかなと思った。

 だが、それは口には出さずに、
「いやー、温かいものと甘いものって疲れてるとき、身体に染み渡りますよね」
と笑うと、だろう? と奏汰は勝ち誇る。

「でも、変ですよね」
と柔らかい色合いのエッグノッグを見ながらつぐみは言った。

「楽しかったけど。
 自分の両親が来るのに、緊張して身構えるとか」

「いや……、俺も自分の親が此処に来たら、身構えるかな」

 少し考えながら、奏汰も言う。

「もう此処が自分の家で、日常ってことだろ」

 そう言って、奏汰はソファの方に行ってしまった。

 温かいエッグノッグを両手で包むように持ったまま、なんとなく奏汰を目で追っていると、奏汰は、一息ついてなにか見ようと思ったのか、HDDレコーダーを動かしていた。

「つぐみ、なにいっぱい録画してんだ」

 全部料理番組じゃないか、と言う。
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