眠らせ森の恋
「私、今日お弁当なんです」
「なによ。金欠なの?」

 奢ってあげましょうかと言われている。

「そうだ。
 英里さんたちもどうですか、私のお弁当。

 いっぱい作ったんです」

「……危なそうだからいいわ」
と言われ、どういう意味ですか、とつぐみが言う。

「あんた、あっ、賞味期限、一年前の今日だったー! とかやりそうだから」

 ……微妙に似てるな、そのリアクション。

「でも、うちに一年前の食材なんてありませんよ」

 そう言い切るつぐみに、
「なんで?」
と英里が訊いている。

「いや、今の家、引っ越してあんまり経ってないからです」

 社長、今の家、取引先との付き合いで、最近、なんとなく建てた家だからな、と思っていると、ふーん、と言った英里は、

「じゃあ、私たちもコンビニ行くから、待ってなさいよ。
 いや、ついて来なさいよ」
と言う。
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