眠らせ森の恋
「あんた一人で食べたいの?」
と言われ、一瞬、止まったつぐみは、理解したようで、

「いえ」
と言って笑っていた。

 結構いいコンビだな、と思いながら、西和田は、その場を後にした。

 社員同士が息が合っている方が、連携が取れて、不測の事態に対処しやすくていい。

 いいことだ。

 去り際、英里の声が聞こえてきた。

「でも、引っ越しっていいわよねー。

 強制断捨離になるし、引っ越した直後は家も綺麗で、その状態を保とうとするじゃない」

 いや、引っ越さずとも片付けろ……と思って行きかけ、楽しげなつぐみの笑い声に、なんとなくまた振り返る。





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