眠らせ森の恋
「正美さんは得意そうですね、お菓子作り」

「あんた、それ、どういう意味?」
と英里に睨まれ、

 いや、英里さんが向いてないとか、ざっくりそうだな、なんて言ってないじゃないですか……、と思いながらも目をそらす。

 そうだ。
 料理と言えば、図書館で本借りてきたんだった、とご飯を食べたあと、持ってきていた本を見ていると、正美が、

「あら、なんの本読んでるの?」
と訊いてくる。

 英里が表紙を見、
「また料理の本?
 あんたの彼氏、料理にうるさいわね」
と言うが。

 いいえ、私が満腹にさせて、ぐっすり眠らせようとしているだけです、と思っていた。

「サイトで見た方がいいんじゃない?」
と正美が言ってくる。

「いいサイトありますか?」

「うーん。
 私は朝食のは見るけど、夜は外で食べることも多いからあんまり知らないかなあ」
と言いながら、一応、朝食の方は教えてくれた。
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