眠らせ森の恋
 



 お言葉に甘えて、奏汰に料理してもらうことになった。

 だが、ソファに座って本を読んでいても落ち着かない。

 やっぱり、社長に料理させて座ってるのってなんだかな、と思って、腰を浮かしかけると、奏汰に睨まれる。

 ……はい、と腰を下ろした。

 いい匂いがしてきたが何故、男はニンニクとオリーブオイルが好きなのだろうかな、と思う。

 父親も兄も弟も、料理をするといえば、ニンニクとオリーブオイルだ。

 なかなかに美味しそうなペペロンチーノとガーリックライスが出来上がった。

 でも、ニンニクばっかりですよ、社長ーっ、と絶叫しそうになる。

「さあ、食べろ」
とカウンターから威張ったように言われ、……はい、と椅子を引きながら、ニンニクの匂い消しに、緑茶飲んで、林檎食べようっと、と思っていた。






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