眠らせ森の恋
 



 食事のあとは二人で片付けた。

 それから、ソファに並んで、つぐみは本を読み、奏汰はまたニュースを見ていた。

 番組が終わっても起きている奏汰に、つぐみは、
「寝ないんですか?」
と訊いてみた。

 テレビを見たまま、
「寝ない」
と言ってくる奏汰に、ニンニクたっぷり食べたからかな……と思う。

「不眠ですか?」
と訊くと、

「違うと言うのに」
と言って、奏汰はこちらを振り向いた。

 その顔の近さに、そういえば、いつもより近くに座っていたな、と気づき、ソファの端にクッションを抱えて移動する。

 離れた位置からつぐみは言った。

「眠れないのは心にストレスがあるからかもしれません」

 つぐみは怪しげな本を手に言い出す。

「さあ、悩み事があるなら、打ち明けてください」

 阿呆か、という顔をした奏汰に、
「ない。
 あるとすればお前だ」
と言われてしまう。
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