眠らせ森の恋
 



 つぐみがデスクで仕事をしていると、沈痛な顔をした西和田がやってきた。

 ちょうど作業の終わった書類を揃え、
「あ、西和田さん」
と言いながら、それを差し出そうとすると、

「デスクに伏せて置いておいてくれ」
と西和田は素っ気なく言ったあとで、ちょっと来い、と手招きしてくる。

 社長室の前に連れていかれ、小声で、
「ともかく、粗相するなよ」
と言われた。

 中に入った西和田は、社長の居る奥の院をノックをする。

「社長、秋名です」
と言うと、入れ、と言う。

 奏汰はデスクでまたスマホを片手に、渋い顔をしていた。
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